母親がB型肝がんで死亡した子どもたちの、二次感染の証明について
事例をご紹介します。
母親が8年前に肝がん(B型)で死亡。母親は昭和21年生まれで集団予防接種の使いまわし世代。ご相談者(次男)は,B型慢性肝炎発症。ご依頼者の兄(長男)も肝がん(B型)発症。
当事務所でご依頼を受けた結果,母親(死亡)3600万円,ご相談者1250万円,兄3600万円の給付金支給という解決に至りました。
この場合,まず,母親が一次感染者であることの証明と,ご相談者(次男)と兄(長男)もそれぞれ二次感染者として母子感染の証明が必要となります。
資料を確認する順番としては,まずは,母親が一次感染者であることの証明ができるかどうかということになります。死亡事案では厚生労働省の手引きに要求されている各種の検査結果が揃わなかったり,カルテが廃棄されていたり,母子手帳がない場合には予防接種を受けたことをどう証明するかなどの難題に直面して諦めてしまう方が多いことは,このブログでも以前に繰り返し取り上げていますが,死亡事案の場合は,工夫と努力をすれば,最終的には,なんとかなることもありますので簡単にあきらめないでください。
この方の場合には,母親の母親(相談者からみて母方の祖母)はずいぶん前に亡くなっていましたが,母親の姉が健在で,キャリアではないことの証明ができたことと,母親のカルテが残っておりましたので,母親が一次感染者であることの証明ができました。
次に死亡している母親から母子感染したことの証明(二次感染)の証明をすることになるのですが,母親が死亡しているため,HBV塩基配列比較検査(HBV分子系統解析検査)を実施することはできません。したがって,「母子感染と異なる原因の存在が確認されないことを立証する」(厚生労働省の手引き11ページ)ことになるのですが,母親がキャリアであれば母子感染が感染ルートとして最も有力な原因とされているのですから,手引きにいろいろと書いてはありますが,経験豊富な当事務所にご相談いただければ,なんとかなります。
母親がB型肝炎が原因で亡くなっていて,母子感染だから対象外だと思っている方もいらっしゃいますが,このように母親が一次感染者であることを証明できれば,母子感染しているごきょうだいのかた全員が救済対象となった例も多数経験しております。最近は,このような状況の方からのお問い合わせが増えてきたように思います。死亡されたり,肝がんを発症されたかたは,被害が深刻ですので,これまでの当事務所の経験を踏まえて,お役にたてればと願っております。